「稼ぎたければ働くな」を読んで常識を再考する。

 未来工業の山田昭男さん書籍を読んで、感じた事、考えた事、行動した事を書き記してみます。

 同書の冒頭に日本にある会社は600万社あるが、そのうちで年間4000万円の利益をあげているのは3%しかないと書かれています。4000万円ぽっちしか儲からないとは、一体どんな経営をしているか?と問いかけます。

 いつも紹介している田中キミアキさんの起業酔話でもこの書籍を取り上げていますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

 別の記事で私が経験した事例を書き記していますが、労働集約型の薄利多売は自らの首を絞める結果を招きます。とにかくお客様の抱えている課題を解決し、お客様の役に立てれば利益は確実に生まれ、そうすればその他大勢と同じ作業をしなくて済むようになりますし、お客様が困っているので高い金額だとしても、喜んでお支払い頂けます。

 お客様に喜んで頂くのが一番重要
 同書では三つの題材で構成されているように思います。一つ目は常識を疑う。二つ目がお客様を喜ばせる。三つ目は従業員に対する接し方です。

 順番は違えますが、一番重要と思えるお客様を喜ばせるから考えてみます。

 本の中では実例として売れない数十、百数十の赤字を生む商品群をあえて作り、職人さんを喜ばせる(赤字商品は職人さんの手間を減らせる)、その結果として売れ筋商品の価格が他社との比較で高くても未来工業の製品を選んでもらえる。それにより大きな利益をあげられる。

 これは昔から言われている「損して得取れ」と同じではないでしょうか。お客様のために損することもあるが、結果(全体)として得(利益)が上がれば良い。単なる商売人根性丸出しで儲ければ良いとは違います。
 上の例で紹介されていた「赤字だが職人さんの助けになる」商品は職人さんの手間を省き効率化を叶えます。
 もちろん売れ筋商品を安価な他社製を選ぶ人もいるでしょうが、恩義で(同書では「撒き餌」と表しています)未来工業の主力商品を買う人が殆どといいます。

 常識を疑う
 実は同書籍を読むのは2度目です。10年以上前にカンブリア宮殿で未来工業が紹介されており、そこで知った山田社長の本を読んでいました。その内容はすっかり忘れていたのですが、読み返している中で以前に読んだのを思い出しました。

 私も父から人と違う事をしなさい、と幼い頃から言われてきましたし、起業してからもずっと言われ続けてきました。

 それなのに本を読んで10年以上を経て、やっと書いてある内容が身に沁みるとは、自分の愚かさには呆れるのですが、それでも成長しないよりはマシだと思うことにします。


 話は逸れましたが「常に考える」を標語にしているだけあり、山田社長の考えが浸透している未来工業は、微に入り細に入り当たり前を覆すような事例が多数紹介されていました。

 門衛の詰所はあるのに、警備員はいない。その理由は警備員に支払う給料がもったいないからだそうです。門に鍵もないし、資材置き場は開けっ放し。質問してきた記者に「泥棒が入ってはいけないという法律はない」と返す始末。

 確かに泥棒「に」入ってはいけない。のは法律で禁じられていますが、泥棒「が」入ってはいけない。という法律はありません。

 とにかく徹頭徹尾、全てを反対から見るような視点です。この視点は重要で「皆がそうするから」では皆と同程度かそれ以下の利益になるは必須です。この本からもランチェスター戦略を感じましたが、小さな世界で一番になる。そうすれば大企業にも負けない、が実践されています。

 大企業がその分野に全社を挙げて全力投入すれば当然勝てはしませんが、それだけのボリュームをその業界、市場が持っているのか?それが重要であり、自社にとって心地よい事業立地なら無理に外に打って出る必要はない。と思います。

 山田社長は日本のGDPは550兆円あるのだから、まだまだ市場は大きいといいます。トヨタでさえ売上は22兆円(書籍が発売された2011年当時)なのだから、いくらでも空きはあると。

 私も自分の事業立地を考えた際に、同様の事を感じました。最大手は当社の5〜6倍の売上規模ですが、実は潜在需要はとてつもなく大きいと睨んでいますので、まだまだ活路は十分にあります。

 ただしこの考え方はゲーム理論でいうところのゼロ和ゲーム(経済用語ではゼロサムゲーム)です。GDPが拡大している中では、自社の売上は他社の売上を奪わない事も可能です。それはGDPという全体(パイ)が拡大しているからです。しかしGDPが定数、または減少している中では自社の増大は他社の減少を招きますので、まさにサバイバルゲームに変貌します。

 現代日本はGDPが縮小するゼロサムゲームで戦っていますので、気を抜けば飢え死に必死です。学習、勉強と実践を怠ればすぐに野垂れ死します。

 従業員に対する接し方
 同書では従業員は「泥棒」と言い放ちます。表現は極端ですが思考が普通の人とは違う山田社長ですから、その話はやはり面白い。

 盗まれないようにするから取られるのであり、先にやってしまえば盗みに来ない。といい、会社の利益を社員へ還元しているようです。

 これは直ぐに取り入れられるので、私も翌週から自社の制度を変えて未来工業を真似しました。折角読んだ情報で良いと思えば、即断即決で取り入れる。零細企業で全ての決定権を自分が持っているからこそ、組織を極端に変化させてより良い会社へと方向性を変えてゆきたいと思いました。

 社員のやる気、モチベーションに対する考え
 山田社長は社員のやる気を重要視しているようです。私はお金でやる気を出させると、継続させられるのか疑問を持っているので、いまだ中途半端な状況です。

 識学という経営手法ではシステムや枠組みで社員に働いてもらう。と説きます。山田社長とは正反対に思います。その面から私はまだこの「社員のやる気」という分野において考えと行動がまとまりません。

 飯塚哲哉さんの「時間を売るな!」という書籍ではお金は大切だが、それで従業員を釣っても長続きしないから、仕事の内容で勝負する方が良いと書いていました。

 しばらくは多様な手法を試す中で自社にあった最善策を選択しようと、現在は見極めの最中です。

 


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