10年以上前に読んだ本ですが、今でも通用する内容というか、本質を突いた普遍的な内容ですから、いつ読んでも良い本です。
西部邁ゼミナールでもゲストとして話をされていましたので、ぜひ御覧いただきたい。
ゼミナールでもランチェスターの話は出てきませんが、明らかに類似しています。一番素晴らしいのは動画の後半、書籍でも出てきますが「競走のない世界」です。この状況になれば他社を考えず独自の世界で生きられるので、楽になります。他社との競争が無いという事は基本的に価格競争もなく、お客様が困っている事象やこれまでにない製品を生み出しながら、お客様と協力しながら生き残れます。
私の事業が20年目も迎えることができた一番の理由は「参入障壁の高さ」にあると確信しています。そして立地。同書の表題にある場所的経営が重要です。
例えば私の会社は千葉県柏市にあります。東京圏を商圏にしつつ、少ないながら存在する競合他社とはうまい具合に立地を分け合っています。そして筑波サーキットという関東では1~2を争う有名なコースが1時間程度で行けるのも有利です。
「場所」という意味で強く感じるのは出来上がる製品、サービスです。どこで作るか、仕上げるのか?によって二輪車や四輪車は仕上がりが変わってきます。試走の場所に依ってです。
平坦か高低差があるか、路面の荒れ具合、カーブ(コーナー)の曲率、これらがどの様に組み合わさるかで同じ車両でも違う操舵性が与えられます。
これに気づいてから自分がどこに立っているのか?どこで商売をするべきなのかについて考えるようになりました。例えばどんなに良い仕上がりでもサーキットを重視しすぎてツーリングでゆったり乗れないのでは意味がありませんし、逆もまた然り。
東京のお客様と北海道では求められる車両は変わってくるはずです。その顕著な例が、筑波サーキットと鈴鹿サーキットにおけるセッティングの差のようなものです。
事業立地
事業立地という意味でも、場所は重要です。どんな商売をするのか?運営(マネジメント)をいくら上手にしても、低粗利益の商売は小規模事業者には難しい。零細ならば仕入れが極力少ない、工賃仕事(手間賃、サービス料)で稼ぎ、現金回収に近い事業が潰れづらいのですが、それを考えずに事業展開をすれば先行きは危ぶまれます。
参入障壁も、それを乗り越えられるなら非常に魅力的です。高台にいるようなものですから、天然の要塞というべきか、崖を登ってくる敵対者は容易に撃退できますし、新規参入者に関しては、通路が狭いのでこちらも戦いは楽です。
ですから自分がどこで(場所)誰を相手に商売するのかをしっかり判断しなければなりません。私は最初、場所だけ決めて相手を決めていませんでした。それでも入口となる参入障壁を崩していたおかげで、今からするとかなり拙い技術でも沢山のお客様に恵まれました。
いまでは部門を限定すれば、技術において、最上位と言えるくらい立ち位置です。そのため競合他社のいない場所に立っていられます。そうなると値付けも自由ですし、お客様は他が無いので当社を利用していただけます。
事業立地を開墾する
在り来りで楽な依頼ばかりだと先細りします。開業からずっと低粗利益率で商売を営んできましたが、その間に様々な依頼がありました。他で断られた内容もかなり含まれます。生来、私が技術や発想の転換を得意としていたのかも知れませんが、理由はともあれ様々な技術の積み重ねにより、フェラーリに関わる依頼が舞い込んできました。最初はそれほど儲かった訳ではありませんが、件数を重ねるに連れ価格の落とし所がみえてきて、今ではかなり心地よい水準です。
普通の人が普通に考え行動して、利益を多く生み出す商売には行き着け無いと考えています。そのため何らかの切っ掛けを活かして、一段でも二段でも上位の世界に移行しなければ、楽な商売には成りません。
まとめ
高収益企業の一番重要な点は「事業立地」にあるそうです。人ではなく立地。そして次に人。ですから自分の商売の立ち位置が悪いと感じているなら、そこから脱却するために移動しなければならず、その手法を模索するために常に学びつつける必要があり、その重要性を「世界を変える場所的経営」が教えてくれます。