2010年に発売された書籍ですが、2022年に読んでも十分価値ある一冊でした。
割と初期に書かれたこの本は、大別すると2つの項目に分けられます。
それはプラットフォーム解説と活用方法。それとプラットフォーマーにどのように対峙するのかです。
前者の説明はとてもわかりやすく思います。特にこのような業界に疎い一般の方でも事例や身近な会社をもとに、具体的な解説で理解を容易にしています。
プラットフォームの初期の姿としてクレジットカードがあり、その最初の会社がダイナースクラブである。なぜダイン(食事)のクラブがカードを作るに至るかの経緯など。
プラットフォーマーに求められる機能は5つあり「マッチング」「費用削減」「検索コストの低減機能」「井戸端会議効果」「三角プリズム機能」と説いています。
個別の具体的な説明はこのブログの趣旨ではないため避けますが、代表例として婚活で説明すると、ツーサイド・プラットフォーム(男と女)で男性から会費を集め、場(プラットフォームに)多くの人が集まり検索コストが低減するなどです。
そしてプラットフォームを自社で開設するために必要となる9の指針を解いていますが、それらを読み感じるのは、プラットフォーマーであれ個別の事業者であれ重要な要素はそれほど違っておらず、その重要項目とは「独自性」と「訴求力」に「価格の適正化」とうに代表される昔から言われている事だと気づきます。
それら古典的な項目をプラットフォームに当てはめる手法は現代的であり、それはインターネットやスマートフォンにアプリなどですが、その上に乗るコンテンツは結局有益でなければ意味をなさない。
ただしプラットフォーム上でアプリ販売などを行う場合は競争方により勝者の一人勝ちになる場合も多く、参入者は費用と効果を十分に検討しなければなりません。この点も競争の激化があるとはいえ、路面店や昔からの商売となんら変わらないのですが、二極化が極端に進化して、中間の成功が見込めない点が大きな差異だと私は感じました。
プラットフォームの横暴
成功したプラットフォーマーは必ずと言って良いほど、自社に有利なルール改正を行います。それは楽天でもAmazonでも同様です。
私の父が30年近く前、地域の経営者で集まりコンサルタントの先生を招いて10〜20人でロールプレイングを行った経験を話してくれました。
ゲームの途中で大きな勝ちが見えた父は、更なる低価格競争に持ち込み市場を席巻し、寡占・独占状態を作った上で価格調整(要するに値上げ)を行えば勝者総取りになると考えたのですが、同じチームの人に倫理観から止められたそうです。
ゲーム終了後のディスカッションで前述の競争激化の後の勝者総取りを行うべきだったとコンサルの方に指摘されたそうです。
私も上品な思考、倫理観としては賛同できるのですが、世界の企業はそのような規則にない自主規制は行いませんから倫理観を(良いことではあるが)強く持つ日本企業が劣勢に立たされるのは理解に易いと思います。
楽天は当初5万円/月の出店料を売り上げ連動型に変えたそうです。Amazonの悪い噂というか横暴はたびたび耳にします。
しかしこれは契約社会においてはなんら問題行為ではありません。ルールを知らないものが負けるのです。
話は逸れますが、税金、助成金に補助金も同じことが言えます。税理士、労務士さんなどはあちらから話を持ってきてくれることは稀です。こちらが知識を獲得して顧問の先生にぶつけて彼らを動かさなければ、成果は得られません。
本題に戻りますが、同書は最後にプラットフォーマーとどのように共存、対峙し自社に有利な規則を作れるかに焦点を当てています。
一般的な零細企業はプラットフォーマにはなれないので、彼らに「負けない」戦略が求められます。
私はそれだけでなく、自社を起点とした零細プラットフォームをどのように立ち上げるのかを今後の焦点にすべきだと感じました。
最後にまとめというか、私の考えと今後の行動はどのようにすべきかを述べます。
莫大な投資を必要とするプログラムの構築を必要としない、ホームページと少しの投資で可能なプラットフォームなら、付き合いのある業者さんを巻き込んで成立させられるのではないか?そのように考えます。その小規模商店街くらいの現実感のある、隙間プラットフォームの構築が面白いと思います。
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