前回は労働集約型から脱出への契機を書きました。
今回は脱出するのに、何をしたのかを書いてゆきます。
結論は「高価格帯への移行」です。
言うか易いが行うは難し。単に金額を上げれば良いのか?それとも何かを付加してゆくのか?そこを間違えば依頼が減りジリ貧になります。
お客様のお店に納品へゆき、話を聞く。他社の作業を実際に分解して確認する。そこから自社との差異を見つけ出して強みと弱みを考えました。
知人の店長さんがCRM250ARという車両を売却したいが、買いませんか?と持ちかけてくれました。その話に乗じたのですが、一番の理由は「他社で作業した部品が着いていた」からに他なりません。業界最大手が作業した品を自分で分解し、吟味する。そこでわかった事を元手に自社の強みを前面に押し出す事としました。
具体的に、大手は「オーバーホール」と同じ名称の作業内容でも、当社の作業とはまるで品質が違ったのです。
長年作業をしていれば、どこで手を抜いているのかなど、一目瞭然です。つまり私どもの作業は価格帯からすれば「過剰品質」「オーバースペック」だと判明しました。
そこで選択肢は二つあります。
第一案は品質を落とし価格に合わせる。
第二案は品質に価格を合わせる。私は二案を採用しました。ランチェスターの法則をご存知の方なら理解し易いと思いますが、小規模事業者が底辺への価格競争に巻き込まれると、圧倒引に不利になります。それは端的に言えば資本が少ないからです。つまり体力がないので薄利に長期間耐えられません。
ですから高価格帯という競争相手が少ない領域を切り開いてゆく方が、実は楽なのです。
「楽」だからといって何もしなくて良いわけではありません。楽の意味は競争相手が居ない、または少ないと言う事で、高価格をお客様に納得してもらうのは頭を使う作業となります。
そこで取引先に直接出向き、品質に関して宣伝する。ブログなどで発信する等の情報拡散を行いました。それに合わせて伝票や納品物、例えば発送用の段ボールや封筒に自社のロゴを貼り付ける。伝票はそれまでの手書きから電子化する等の極めて当たり前のことではありますが、遅れていた部分を先進化しました。
それだけでなく、プログラマーを雇い自社専用の管理システムを構築したりと、効率化をはかる業務改善も同時進行しておきました。
それまで作業の内容をデジカメで撮影し、CD-Rに焼いてお客様に渡していたのですが、それをQRコードから閲覧、ダウンロード可能にするなど、お客様が驚く前衛的で便利な手法を取り入れています。
これらには大きな費用がかかりました。それまでの薄利多売、労働集約型の商売からその費用を捻出するのは簡単ではありませんでしたが、動かなければ後退し廃業するだろうとの危機感から100万円以上の出費を行なったのです。
利益の薄い商売だといっても、売り上げがそれなりにあれば改善の手法はいくらでもあります。要は考え方、頭の使いようでした。
まとめ
小規模事業者は低価格競争に巻き込まれると、生き残るのはとても厳しい。あらゆる手段を用いて高価格帯への移行を進めるべきです。